会津雪女郎

会津雪女郎会津で雪女郎とよばれる雪女は、全国にもさまざまな形で伝わる民話です。小泉八雲の「怪談」にも美しい女性の姿で登場します。

「怪談」の中では老人と若者の2人のきこりが登場しますが、会津の民話では父と息子の話で始まります。
吹雪の夜親子の前に現れた雪女郎は、父親を白い吐息で凍死させます。そしてまだ若い息子にも息を吹きかけようとしますが、まだあどけない様子に今のことは誰にも言わないことを条件に命を助け姿を消します。
やがて雪女郎は、青年となった息子の前に美しい女性となって現れ、結婚して子供をもうけます。
幸せな日々の中いつまでも美しいままの妻に、ある日子供の頃の不思議な出来事を思い出し、とうとうしゃべってしまいます。
するとみるみる妻の表情が険しくなって、雪女郎の正体を現し約束を破った夫を殺そうとしてはためらい苦悶し、やがて悲しそうに見つめ、ついには泣いている赤ん坊を抱いて降りしきる雪の中へと姿を消しました。

雪女郎の昔語り

各地に存在する雪女郎物語を、鈴鹿景子さんが方言を交えてひとり語りで公演されております。今年の冬にはここ喜多方でも行われます。
鈴鹿さんについて詳しく知りたい方は、鈴鹿景子(すずかけいこ)プロフィールをご覧ください。

商品化にあたり

絵付け前の真っ白い起き上がり小法師とこの民話からイメージを膨らませてつくりました。
地震、津波、原発事故、風評被害という四重苦を幸せな生活から突然雪の中に身を投じた「雪女郎」の境遇に置きかえて、悲しみや辛さの中にあっても希望を…と、抱きかかえられた赤ちゃんをピンク色に強調してその思いを込めました。

この民話が会津とする確たるものは分かっていません。民話には口伝も多く長い年月や人々の往来で様々にまじりあってその内容も変わったりしますし、各地似たような民話が存在することになります。「むかし、むかしあるところに」はよく聞きますが、例えば「むかし、むかしの会津の話」と地域を特定して始まるものはあまり聞きません。
本にされている民話は保存しようとする意志の元、テープなどの記録媒体から聞きおこしたものも多く、話す機会や聞く機会がなければ、知られることもなく薄れいずれは消えてしまいます。

100年後の人に「むかし、むかし…」と言ってもらえるように、100年先の昔を今始めます。
どうかお手元に置いていただいて、あなた自身も100年先への物語を紡いでみませんか。